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エージェント・作品紹介

【企画要項】
  出版社、編集者の方へ
    ―当会プロデューサーが紹介可能な作品― 
   著者名  更 葉月さん (女性)

   タイトル 『明治巡査物語 赤瀬川蒼馬の事件帖
   ジャンル 推理小説(400字詰め原稿用紙468枚)

作者プロフィール

  • 玉川大学文学部教育学科卒業
  • 幼稚園・保育園勤務後、学習塾を経営 現・主婦
  • 『はてなさん』 凡社 1998年3月3日、凡社より刊行
  • 『僕たちの不思議な物語』   2019年12月3日、幻冬舎MCより刊行
  • 『見上げれば空はブルー』 2022年8月31日、幻冬舎MCより刊行
  • 応募経験 ファンタジア大賞 文芸社文庫NEO小説大賞 ポプラ社小説新人賞(1次選考通過)
  • 好きな作家 主に海外推理作家・サラ・パレッキー パトリシア・コーンウェル 沢木耕太郎 吉村昭
  • 目標としている作家 アガサ・クリスティー

梗概書

第一章 

十九歳で巡査になったばかりの蒼馬は江戸の世に下っぴきをしていた片目の男の寅蔵とひょんなことから一緒に事件に取り組む相棒となった。配属された浅川屯所には同期の新人が三人と、古参の巡査が二人、警部補一人がいた。彼らが取り組む事件は新政府が発令した政策と絡みながら次々と起こっていった。

「はじめての事件」

旧両替商山形屋の強盗殺人事件は旧藩士たちの仕業に見せかけた博徒たちの犯した事件を解決。その裏にあった政府発行の十両太政官札紛失の捜索を命じられる。

「赤鬼が来た」

イギリス人による質屋殺しを解決。外国との犯人引き渡しが出来ない事を知る。

「誘って殺す」

連続三件の辻斬りが発生。おとり捜査の結果同僚の巡査が四人目の被害者となるも、犯人は禁止されていた試し斬りをしていた刀工の親子だった。

「舟まんじゅうと毒まんじゅう」

偽の宣教師による児童誘拐と子どもの毒殺事件が起こる。吉原廃止令を受け、働き場所を失った娼婦の逞しくも生きる知恵が絡む。

「濡れ衣」

蒼馬を兄と慕う旅館女中のお園が主人殺しで捕まる。真犯人の目星をつけるも蒼馬を嫌う同僚巡査の邪魔で逮捕寸前に逃げられる。

「鹿鳴館」

鹿鳴館爆破という情報を得た蒼馬と寅蔵は政府転覆を図る上官を捕らえ、同時に十両太政官札を発見する。旅館主人殺しを解決したものの、お園は自害する。蒼馬は、失意のうち里子(さとご)を連れて帰郷することを決意する。寅蔵との別れが待っていた。

第二章

日清戦争が勃発する暗い世相。警察に憲兵隊が介入してくる。故郷で、派出所の所長になっていた蒼馬は殺人事件を抱えていた。犯人と目星を付けた男は東京に逃げた後だった。同時に勉強の為東京に戻っていた里子が友人殺害の為に逮捕された。再び東京に戻り寅蔵と事件の解決の為に奔走するが、その事で殺人事件が続く。

「蛇の足音」

蒼馬は村で起こった犯人探しと里子の無実を晴らす為に東京に向かう。新聞記者石井の協力を得る。

「交わる事件」

三件の殺人事件は自由民権運動の青木泰三暗殺事件と重なる。犯人の憲兵にたどり着くが、憲兵隊と警察に邪魔される。

「幸せな結末」

犯人を追い詰めるも、事件は犯人の思わぬ事故死で、終焉を迎える。「一旦事が起こればだれにとっても幸せな結末は無い」のだと、蒼馬は退官を迎えた日に事件帖に記す。

 

企画の意図

  1. 司馬遼太郎著の「坂の上の雲」など著名な明治を彩った人たちの物語は多い。そういった政治の立役者ではない、元武士や市井の人々が混乱の明治初頭を如何に生き抜いてきたのかを描いている。

  2. 主人公は巡査になり、薩摩の田舎で培った野性的な推理力と無垢な心で事件を見つめ、新政府が繰り出した近代的な政策に翻弄された人々の窮地を救っていく主人公の独断的な推測による事件の解決はなく、これは明治時代に創設されたばかりの警察を描くものでもある。

  3. 映画や漫画、テレビドラマにもなり得るエンターティメント満載の作品である。色々なジャンルに使えるという事は、幅広く読者層を開拓できる。

  4. 明治政府が打ち出した数々の政策は、未だ現在社会に、良くも悪くも影響を与え続けている。遅々として進まぬ改革に一石を投じるものでもある。

読者ターゲット

 50代

A文学会から一言

『明治巡査物語 赤瀬川蒼馬の事件帖』は、正しく名は体を表す作品だ。正統派捕物帖の流れを汲みつつ、舞台は維新激動の余波が未だおさまらない明治初期。だからだろうか、薩摩出身の主人公・赤瀬川蒼馬は質実剛健な青年でありながら、「前ばかりを見る」単純な明朗さの持ち主ではない。大きな時代の波に洗われた人物ならではの、どこか繊細さのある造形となっている。

 一般論でいえば薩摩藩は維新の勝ち組だが、現実はそう単純ではなかった。時代体験がもたらした陰影は経験値となり、蒼馬は多面的思考のできる、年齢のわりに老成した青年として描かれる。このような人物が事件解決役をつとめ、物語の屋台骨を支える安心感と、「慣れぬ場所で慣れぬ仕事に従事する」主人公を追う、俯瞰しすぎないバランスが、作品の良心をかたちづくる。

 また、発生した事件を思考2~3割、行動7~8割で解決に導く、紛れもない娯楽作品でありながら、社会風俗描写に作者の歴史観が色濃く反映されている点が特徴的だ。後からならはっきりわかる節目であっても、果たして渦中にいる人々にとってはどうなのか。ある日を境に時代が変わったことを感じ取ることができるのか。作中、そう都合よくは未来を見通せない登場人物たちが、時々見せる「途方に暮れた」感が非常に鮮やかだ。江戸時代武士の階級にいた者は戸惑いや忸怩たる思い、直面する世間の厳しさから時代の変化を皮膚で感じ取ることもあろう。一方でそもそもの底辺にいた庶民の逞しさには目を見張るものがある。光と影の描き方に希望の見える、ひたひたと変化に洗われる現代人にふさわしい作品である。

ご紹介可能な有効期限

2024年12月27日

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〒105-0013 東京都港区浜松町2-2-15-2F
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