エージェント・作品紹介
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―当会プロデューサーが紹介可能な作品―
著者名 樂月 慎 さん(男性)
タイトル 『檸檬にキスマーク』
ジャンル 家族小説 (400字詰め原稿用紙336枚)
作者プロフィール
2006年 『陽だまりのブラジリアン』朝日新聞社より刊行
2007年 書き下ろし小説『青色ミライ』光文社より刊行
2008年 書き下ろし小説『思川バルーン』幻戯書房より刊行
2013年 書き下ろし小説『海岸のマサオさん』幻戯書房より刊行
梗概書
主人公、星野ワタルはヨシエと離婚したにもかかわらず、家を出ていかなかった。
一方ヨシエは、いつまでも煮え切らない態度の星野に我慢がならなくなり、ついに新しい家族を部屋に招いてしまった。ヨシエの新しい旦那である薄井さんと、小学校五年生になる娘、美香。この四人の奇妙な共同生活が始まる。
星野ワタルは、「新しい部屋を見つけるまで」という条件付きでこの家にいることを許される。それはすべて薄井さんの娘である、美香の一言のおかげだった。
四人で囲む食卓に、家族を見出す星野。そのぬくもりに日々癒されていくが、同時に有毒な罪悪感が身に襲いかかる。会社を無断欠勤し失業した星野は、ヨシエに手を上げてしまっていたのだ。離婚はそれが原因でもあった。
この事実に向き合わせてくれたのが、美香であった。すべてにトゲトゲしい年頃の女の子は、最初から星野だけにはやさしかった。いつしか、ホシノッチ、ミカピョンと呼び合い、星野は自転車で彼女の塾への送り迎えをするまでコミュニケーションを深めていく。しかし義母となるヨシエは、美香との会話さえうまくいかない。
ある日、星野は美香が学校でいじめられている事実を知る。しかし美香を救ったのは、他ならぬヨシエであった。芽生える新たな絆。 誰の心も檸檬のようにいびつなかたちをしている。そんな大人たちの側面を垣間見ながら美香は成長していく。それを共有するかのように、星野は家を出るという決心を固める。 おセンチ男の最後の夏休み。
企画の意図
どこかにありそうな一風変わった家族の物語を描くことで、日常生活を前向きに生きることの大切さを伝えたかった。そして一歩踏み外してしまえば闇に転落してしまいそうになる表裏一体の現実社会。重くなく軽く、そしてなるべくゆるやかに伝えることで、読者がほっと一息できる物語であったらという意図があります。
読者ターゲット
男女を問わず(特に三十代から四十代の、仕事や家事にあくせくしている層)
A文学会から一言
本作品は、普通の結婚生活を送っていた一人のサラリーマンの視点から物語が展開していきます。マイホーム購入後2年目にして明らかになった妻との価値観の相違から離婚を経験。そして会社をも退職することになってしまう。やがて元妻の連れてきた、再婚相手の夫と小学生の少女(連れ子)4人での新たな共同生活がスタートします。元妻の再婚相手とうまく折り合えるか。小学生の少女はこんな環境をどう受け入れるのか。読者はその複雑な家族模様への驚きと、やがて作品の世界に引き込まれます。
主人公の繊細な心の描写や会話のテンポのよさでぐいぐい読める作品に仕上がっています。またほんのりとユーモラスで、あたたかみのあるやさしいタッチの文章スタイルで、丁寧に表現されているところも魅力です。微かに漂う切なさが、世の既婚者やサラリーマン層にとっては身につまされるのではないでしょうか。
本作品は書籍化はもちろんドラマなどの原作にも向いています。
家族という身近な日常を題材とした、エンターテイメント性のある創作力が作者の特徴といえます。
ご紹介可能な有効期限
2024年12月27日
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