エージェント・作品紹介

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―当会プロデューサーが紹介可能な作品―
著者名 綾野 紀子(女性)
タイトル 『声を受け継ぐ』祖母と母が語った、あの日の記憶
ジャンル エッセイ(戦中・戦後の記録)
(400字詰め原稿用紙 約300枚)
作者プロフィール
東京都在住、64歳。元小学校教員。
教育現場で20年以上にわたり「命の授業」「平和学習」に携わる。戦後80年を迎える今、家族の中に積もってきた“語られなかった記憶”を掘り起こすことが、自分の役割であると感じ、本作の執筆を決意。
本書は、東京大空襲を経験した祖母と、戦後混乱期の少女期を生きた母の記憶、そして現代を生きる自身の視点とを織り交ぜて構成されている。
梗概書
「焼け野原だった」――それが祖母の口癖だった。
だが、本当にあの夜、何が起きたのか。私はずっと知らなかった。
祖母が亡くなった後、遺品整理で見つけた一冊の手帳。
そこには、東京大空襲の夜、赤ん坊(当時の私の母)を背負いながら火の粉の中を逃げた経験が、震えるような筆跡で綴られていた。戦後、子を育てながらどれほどの恐怖と喪失と向き合ってきたか――その日常の中に戦争は確かに存在していた。
母はその後、疎開先から戻った数年後に、自身が小学生の頃から書き始めた日記を今も保管している。「まだ防空壕の夢を見た」「白いご飯が夢のようだった」といった記述がそこにはあった。幼心に焼きついた戦後の不安、混乱、そして復興の記憶。それらが文章となり、時代を越えて私に語りかけてくる。
本書は、祖母の記録・母の記憶・そして私自身の再解釈を通じて、“戦争を伝える”ということがどういう営みかを、静かに問いかける一冊である。
語り部の役割を誰もが担う時代。私は家族という小さな継承の場から、その灯をつないでいきたい。
企画の意図
「戦争は遠い昔の話」と思われがちな現代。
しかし、祖母の記憶は手書きの手帳に、母の記憶は幼少期の日記に、そして私の心には言葉にならなかった問いとして、確かに残っている。
“身近な戦争”を描くことは、“他人事ではない”という理解への第一歩。
本書はその入口として、次世代に向けた“静かな記憶のバトン”となることを目指している。
歴史書や映像には収まりきらない、“暮らしの中の戦争”を描いた等身大の記録として、教育関係者・家庭読者・平和活動家など幅広い層への読後の波及が期待できる。
読者ターゲット
・50代〜の女性読者(親・祖父母の語りを受け継いだ世代)
・教師・保護者層(平和教育や命の授業に活用したい方)
・ドキュメンタリーや戦争体験記を好むノンフィクション読者層
・「母から娘へ」「祖母から孫へ」の継承を描く人間ドラマを求める層
A文学会から一言
この作品は、ただの戦争体験記ではない。
それは、“言葉にできなかった記憶”を、親から子へ、孫へと静かに手渡していく営みそのものだ。
祖母が赤ん坊を背負い、夜空を赤く染める火の粉の中を逃げた――その臨場感は、読者の胸に深く刻まれる。また、母が子どもながらに感じ取っていた「何かがおかしい日常」、防空壕の夢、配給の列に並んだ記憶、戦後の光と影――それらが、細部に至るまで丁寧に拾い集められている。
作者の筆致は、声を荒げず、ただ静かに、しかし確実に読者の内面に届く。
家族の小さな会話の中に、歴史の断片があり、沈黙の奥に“時代”が潜んでいることに気づかせてくれる。
「戦争を知らない世代」が、それでも“確かに戦争を知っていく”。
その道のりを描くこの作品は、私たち一人ひとりに、「語り継ぐ覚悟」を問いかけてくる。
これは、家族の記憶を未来へ送るための、一冊の手紙である。
ご紹介可能な有効期限
2025年12月27日
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