エージェント・作品紹介
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―当会プロデューサーが紹介可能な作品―
著者名 春野 郷 さん (男性)
タイトル 『志をはぐくむ国づくり
―子どもが健やかにそだてば日本はよみがえる―』
ジャンル 社会政策論 (400字詰め原稿用紙約270枚)
作者プロフィール
昭和15(1940)年宮崎県小林市生、昭和34年県立小林高等学校卒業、九州大学工学部土木工学科卒業、同大学院修士課程修了、昭和41年~平成6年3月建設省職員、同年5月(一社)海外建設協会、平成9年福山コンサルタント(株)、平成26年退職。現在、建設コンサルタンツ協会九州支部特別顧問(無給)。
【出版歴】
・ハヤトー自然道入門:ペンネーム天原一精、明窓出版株式社、平成10年6月
・魂からの出発―もう一つの構造改革:(株)鉱脈社 平成14年9月
・精霊船は駆け抜けた!―7.23・長崎大水害・国道34号復旧奮戦記:長崎文献社、平成14年7月
・建設現場は泣いているー国土・公共事業の環境と課題(注):ペンネーム熊本寿人、平成18年(株)朝日クリエ
・少年ハヤトー未だ大志を抱かず:㈲海鳥社 平成21年
・強く美しい国づくりー国土の均衡ある発展をめざして:建設人社 平成27年5月
(注)「建設現場は泣いている」は公共事業の談合問題等に関する、事業執行上の矛盾を突いた論文であり、日本自費出版文化賞に入選した。選考の過程で、オンゴーイングな政策に関する批判的な著述についての取り扱いについて議論があったらしく以来、選考委員の機能上、選考の対象からはずされることとなったと仄聞している。
梗概書
第Ⅰ部 偏差値教育がなかったころ
1.学び舎の一つが学校系/2.学び舎の二つは土民系/3.思春期と失楽園
第Ⅱ部 老いてなお持続する情熱
1.火照る情熱が生み出したもの/2.自然礼讃への回帰
第Ⅲ部 ますます支配的な人工的環境
1.環境と幸福との因果関係/2.劣化した子どもの遊び場/3.あそびは学び/4.人工的環境と自然的環境の感性比較/5.人工的環境が子どもにおよぼす弊害/6.社会的共通資本としての農山漁村/7.農山村・小鳥文化の壊滅/8.日本人の心性・花鳥風月
第Ⅳ部 大志をはぐくむ国土へ
1.「教え育てる」から「学び育つ」へ/2.文化資本を培う/むすび
全体をつうじ、孫の大学生、由香ちゃんとの対話をしながら二人とも学んでいく。喜寿を越えた筆者が、戦後から現代までを一望して気づくことは、より自然な環境からより人工的環境に変わったことだ。スマホ、偏差値教育、などの弊害に、これでいいのか、と問いかける。
(第Ⅰ部)戦後の田舎は瑞々しく輝いていた。昭和24年、小学4年生の筆者に、生物に情熱を注ぐ先生との出会いが訪れた。国語の時間に、野外に飛び出して、自然の神秘さ、その探究の面白さを生徒に教えるなど型破りな先生だった。一方、土着の人びとからは、小鳥の飼育、ウナギの捕り方などを学んだ。それは美しい花鳥風月の世界だった。
復興とともに美しい自然は失われていった。筆者も進学のために郷里を後にした。当時を振り返ると、教育者シュナイターの言うように、成長を不自然に助長する偏差値教育などの影響も受けずに、成長段階に応じた育ち方をしていた。
(第Ⅱ部)半世紀後、若い日に自然に親しみ、情熱を燃やした方々の消息を訪ね、その情熱と向上心が当時のまま続いている姿を示した。
(第Ⅲ部)モノ的には豊かな人工的環境にドップリつかった現代人。特に、若者の感性に与える負の影響を、社会的事象から探る。一方で、子ども目線の環境は遊び場の喪失など劣化が著しく、子どもの感性が豊かに育たない危惧がある。それは都市のみならず農山村にまで及んでおり、農村においては人工林化の負の影響が大きい。
自然的環境と人工的環境が融和した地域づくりをとおして、各自が、心安らぐふる里を持てるような国づくりをしようではないか。祖国愛に満ちる立志人はその土壌から生まれよう。
企画の意図
・日本人の資質の劣化を、70年スパンで把握しようとの試みも、理論よりも読者の感性に訴える手法も、見当たらない。
・筆者は、学者でも専門家でもない。ただ、持ち合わせているのが、おそらくは誰しもお持ちでないであろう、幼少時代の自然との豊富な交わりの体験。それを読者に追体験していただくことによって「偏差値教育がなかったころ」の育ち方を想起していただく。
・日本にもこんな美しく輝いた世界があったのか、という驚きと希望を与えたい。
・本書の目的は、解決策を提示するのではなく、読者のヒントになればよいこと。「人を育てる、人が育つ」視点からの政策論が活発化する導火線にもなればよい。
・人と環境の関係性に関するテーマゆえに、中央省庁、自治体などに役立つ情報も含まれており、政策立案の参考にしてほしい。
・国内外の教育思想も取り入れ、また、筆者の(昨今では経験できない)美しい体験によって、読者に、輝く自然への憧憬を呼び戻し、新たな国づくりへのモチベーションを与えたい。
読者ターゲット
・子どもの環境に関心ある者、行政マン。・学校の教職員・国の行政機関、自治体、立法府(政治家)、筆者と同郷人。 |
A文学会から一言
平成の世も終わりを間近にした今(2019年1月現在)、閉塞感溢れる社会の現況を憂い、自らの体験を引き合いに啓蒙を図る作品は数多い。本作もそのひとつである。
作者が自国の抱える問題を見つめてきた時間の長さを、そのまま反映する思考量および言語量に圧倒されるが、読み進めるうちに作者の篤実な訥々とした姿勢そのものに目を開かされる。自身とは知識・体験が全く異なる聞き手を設定し、その相手に語りかけるスタイルは、正直執筆の自由度を縛る側面もあっただろう。熱情のまま奔り出して説明したい衝動をところどころに見せながらも、年長者らしくよく抑えて言葉を積み重ねる様子は好ましい。
作中描かれる作者の故郷・宮崎県の豊穣な情景描写は、この(世界地図比で)小さな島国の、さらに小さな島の中の、さらに一部の県にここまで神秘的な楽園があったかと思えるほどで、この彩の豊かさが重厚な作品に不思議な娯楽性を添えている。
まぎれもなく国と民族への愛情がほとばしる作品ながら、それを引き締める要素がある。「情熱」の対義語は一般的には「冷静」なのだろうが、その「冷静」のもとになるのは時間であり、顔が見える場所での対話であり、確固とした経験なのだと気付かされる。
ご紹介可能な有効期限
2024年12月27日
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