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エージェント・作品紹介10

 【企画要項】
  出版社、編集者の方へ
   ―当会プロデューサーが紹介可能な作品― 
   著者名 堀尾   翔太 さん (男性)

  タイトル 『一体化現象』
   
ジャンル   小説 (短編集 ) (400字詰め原稿用紙170枚) 

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作者プロフィール

都留文科大学 文学部 国文学科卒。
   梨木香歩さんの著書『からくりからくさ』で卒業論文を執筆。

好きな作家は梨木香歩さんと、川端康成さんと、ドストエフスキーさん。
「白痴」のラストのような静寂をいつか書きたいと思っています。
            
 犬とタバコと音楽が好きで、お酒と生トマトが苦手です。

梗概書

<ある春風が吹いた日の翌朝に見た夢>

 ウッドデッキ、モンシロチョウ、昼寝、愛犬。幸福な一瞬を切り取った絵画のような掌編。唯一、タイトルの意味するところが悲しい。

<カチリカチリエレファント>

 部屋の中にゾウが浮かんでいる、明かりを点滅させるたびに増えていくというシュールでナンセンスな短編。ゾウ同士の「人間関係」はユーモラスだが、よく考えると結末は非常に怖い。

<マリー曰く(伝染夢)>

 友人から悪夢の話を聞かされたとき、少女は身を入れて聞かなかった。「何それ」で片付けてしまった。だが友人は姿を消し、同じ夢と思えるものを少女自身が見るようになった。消失の恐怖を描きながらも、悔恨と悲しみが満ちた短編。

<間違った方向へしか進まないバスに乗った子供たちはみな夢を見ていた>

 スクールバスを思わせるバスの中で、乗客である子供たちは全員熟睡している。バスは彼らをどこに運ぼうとしているのか。どこか映画『スウィート・ヒアアフター』を思わせる掌編。

<散りゆく私たちの街>

 花びらの上に築かれた極小の街に生まれる数多の命と喜びは、花が散ると同時に消えていく。運命論の過酷さと美しさを描いた掌編ファンタジー。

<傷からニャア>

 文字通り、体の傷口から次々と猫が出てくるという不条理かつグロテスクな短編。何かに挑戦するかのような決意が感じられる。

<吹き抜ける風、歩く巨人>

 荒廃した近未来を思わせる世界で、巨人が少女を肩に乗せて歩く。だが二人の間に言葉はなく、目的地もわからない。情景描写による文明批判が、小川未明『眠い町』の21世紀バージョンとも呼べそうな短編。

<想像の上を行く>

 仲のよさげな男女の、他愛ない会話からなる掌編。どのように要約してもネタバレになってしまう、出落ちのような小噺系の作品。

<夢のスカイプラン>

 拾ったタバコに火をつけてみたら、体が空中を漂い始めた。感じたのは疑念や恐怖ではなく、純粋な多幸感。ある日青空の下でこの特別なタバコを喫ってみると、はるか上空に仲間が大勢いることに気づく。愛煙家の悲しみと幸福を描いた寓話。

<天から降る白糸>

 目の前に垂れ下がった謎の糸。男は何の気なしにとりついて上ってみるのだが、行けども行けども終点は見えない。そのうちに、鳥たちが男に興味を持ち始める。始まりは『蜘蛛の糸』、途中経過は『桃太郎』を思わせるが、人を食ったような愉快さは紛れもなくオリジナル作品。

<一体化現象>

 飲み会で一瞬目をかわした大学生男子とアルバイトの女子。ある日互いの意識がそれぞれの肉体に入ってしまう。平安時代の昔からある「とりかえばや」、何度も好んで使用されロングセラーやヒット作を生んだ題材の、繊細な発展形である。それぞれの孤独を生んだ過去の描写がひんやりと冷たく、むしろ「とりかえばや」がなかったほうが障害なくうまくいったのではないかと思わせるところが切ない。本作品群唯一の中編。

企画の意図

  このような短編集を書こうと思ったきっかけは、頭の中でぐるぐると回る思いを吐き出したかったからです。似たような思いを抱えている人が読んでいただければ、きっと面白味や共感が伝わるのではないかと思います。

読者ターゲット

 10代から30代。特に小説を読むことを好み、寂しい気持ちを抱えている方へ。

A文学会から一言

  現代人の大半は、幸福とは言い切れないが不幸であると主張するのもはばかられれる、という状況にいるのではないか。本作品群は、その「大声で主張するのははばかられる」不幸を洗練されたかたちで描き出している。

 もちろん、『想像の上を行く』のように、作者がどのような顔をして思いついたのか想像すると可笑しくなる話もある。また『天から降る白糸』の暢気な明るさは大変好もしい。だが、その他の話の登場人物の多くにとって、寂しさは手の内を知り尽くした敵であり、むしろ仲間といってもいいほどである。唯一の中編『一体化現象』ではとくにその傾向が顕著だ。

 清仁と信子は、互いの意識と肉体の混在に遭遇し、たとえば「なぜこんなことが起きたのか」という疑問や「いつまで続くのだろうか」といった不安は抱かない。別々の意識で肉体を動かそうとする練習をし、周囲に異変がばれないように行動する。そして、この異変がもたらした互いの関係に、非常に神経を注ぐ。このときに見せる二人の感情の精緻なバランスが、「不幸慣れ」のうちに見える唯一といっていい、含羞のような希望である。

 いずれの作品も、透明度の高い池のように美しい。覗き込むと吸い込まれそうになり、裏にどんな意味があるのかと勘ぐりたくなる。だが、その勘ぐりに対する無言性もこの作者の特徴であり、極めて現代的である。

ご紹介可能な有効期限

2017年12月31日

より詳細な情報をご希望の方は、下記メールまでお問い合わせください。

info@abungakukai.com   A文学会 ( 国内企画担当 )
〒105-0013 東京都港区浜松町2-2-15-2F
TEL 050-3414-4568(IP電話・FAX)

 

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